新調やぐらの大きな見所のひとつが、手先を変えた枡組である。
青年団でも保存会でも村でも良く聞かれたのは、「新調やぐらは枡組肘木を大きく豪華にしてほしい」という意見だった。
先代と同じ組み方で、ひとつひとつをただ大きくしただけではあまりにもバランスが崩れた姿見になってしまう。なにより重心が上に偏り、安全面でも問題がある。新調委員会は『手先を変える』という大きな決断をするのである。
現行する阪南市のやぐら、その枡組はどれもが一段上がるとひとつ手先が変わるという組み方をしている。手先を変えるということは、見た目からすると現在曳行されている岸和田型のだんじりの枡組と似通ってくる。完成したやぐらを見た他所のものが「だんじりの真似ではないか」と揶揄する可能性もあったのだ。
ちなみに少し私の見解を挟みます。以下
下出の新調やぐらの枡組はやぐらとして真当な進化をしたものだと思います。やぐらやだんじりの枡組は、その初期の段階は樽井のやぐらや上だんじりで見られるようなもので、岸和田ではだんじり会館に展示されている旧五軒屋町や長滝中のような肘木を大きくとって豪華に見せたものに進化し、阪南では今主流の細かく手先を変え肘木の数を増やし豪華に見せているものに進化したのである。
この細かな肘木をより立派に見せるため、ひとつひとつの彫刻を大きく表情豊かにするには段数を減らす、手先を変える、本数を減らすというのが当然の進化、それが今回の下出やぐらで誕生したのである。やぐらの枡組はこうなって然るべきであり、さらにさらに想いもよらない進化が今後生まれる可能性だってあるのだ。
と作る前から意気込んでいましたが、出来上がってみてみるとこの枡組に否定的な意見をする他所の方が殆どいないことに驚きました。(私の知る内では0です)皆さんも私と同じような考えだったのかはわかりませんが。以上
さて、出来上がった枡組は四手先八段、隅木と桁芯上の一直線に並んだ龍や、最下段の獏、平には至る所に唐獅子を配置するなどやぐら枡組の特徴を色濃く残すものとなっている。その中にさらに籠彫、花鳥彫、小節彫等たくさんの柄が千鳥柄に配列されてあり、一目見ただけでもその豪華さに圧倒されるが、遠目に見た雰囲気はだんじりではなく、今までのやぐらに近いものがある。
このやぐらの雰囲気を出す為に新調委員はそうとうな協議を重ね、枡組の構成を決めるだけに数年の歳月をかけている。もちろん、この肘木ひとつひとつも彫刻責任者の西澤氏が全て手がけており、彫刻開始から彫り終わるまでに2年近くを要している。
ただ豪華なだけではなく様々なこだわりが随所に見られるので、新調やぐらを見る機会があれば是非とも見つけていただきたいものである。幾つかを紹介しよう。
今までのやぐらと同じように、1段目は夢を喰らう伝説の動物獏。「悪夢を喰う」ことで縁起が良いとされる。
花の単独彫は花弁がぐっと開いた意匠を採用している。このような彫り方は木柄が大きく必要で、彫刻も難しいようだ。だんじりを作るとき、ここに注文をつけだすと金額がぐっと上がるらしい。
隅木の龍、平面の唐獅子は全て阿形と吽形の2種類ある。先代やぐらは全て口が閉じていたが、それも「運が逃げない」という意味があったそうだ。
最上段にも対の唐獅子を配置。鬼斗枡にぴったり収まっているところもこだわり。
その後ろにも獅子がいてます。
最上段は獅子とコブシ。ちなみに枡にも全て彫刻が入ってます。
獏の側面と下面にも筋彫があります。全ての肘木の側面に彫刻を入れることも検討されたが、肘木の彫刻が引き立たなくなるのでと見送られました。
あと写真ではわかりませんが、先代と同じように屋根内部に電球が入っていますので、夜は枡組の間から光が漏れます。これもこだわり。
















正面の仁王像の話は、何時頃・・・。
順を追って書いていきますんで。